二週間の休暇


講談社 <2007年> 1238円(税別)
A5並製/104ページ
装丁・名久井直子


講談社のウェブサイトで連載された、漫画の単行本化。
気がついてみれば、不思議な国で焼きナスを作って暮らしていた日菜子の日常。
鳥好き、猫好き、料理好き、不思議好きなあなたへ。

著者初の長編漫画。人間が主人公。など、新しいことに挑戦して一歩新しい領域に踏み出した作品です。
長編を書く時はやはり骨組みをしっかり作ってから、それに沿って書き進めないと収集がつかないだろう。そう思って骨組みを作って連載を始めたのですが、進んで行くにしたがって、自分でも思いもよらぬ迷宮へ迷い込んだのは、この物語の主人公が味わった思いと似ているかもしれません。

この本のタイトルはジュール・ヴェルヌの『二年間の休暇 』に対するオマージュです。
子供のときに読んだ『十五少年漂流記』の原語タイトルを直訳すると『二年間の休暇』になると知ったときの驚き。激動の遭難体験を「休暇」とするユーモア、漂う詩情、余韻があって、とにかく全面的にこちらがいいと思いました。ただし小学校の図書室に『二年間の休暇』という背表紙が並んでいたら手にとっていたかどうかわかりません。そこがタイトルの難しいところです。『二週間の休暇』に『十五少年〜』のような説明的タイトルをつけるならば『鳥迷宮さまよい女の日記』です。

透ける表紙カバーの裏表に刷ったシルエット。凝った装丁も必見です。『いきもののすべて』同様、カバーをはずして、ためつすがめつ仔細に観察してください。

本書に出てくる「給水塔占い」は本サイトの中にありますので、探してお試しあれ。
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